馬場 勉コラム
『自今生涯』

第28回

円高・株安の同時進行

お盆が過ぎても残暑が厳しい。気のせいもあるだろうが、若干、風に涼しさが感じられるようになった今日この頃です。

民主党は、党大会の支持拡大にのめり込んでいる。そのため経済(円高・株安)のことまでは、頭がまわらないらしい。現に、頭が回転しても打つ手はほとんど限られている。「口先介入」しても効き目は無いに等しい。

例えば、菅総理や野田財務相らの一連の円高に対する発言で「注意深く見守る」というのは「何もしない」ということに業界筋(マーケット)では受け止められてしまった。下手に講釈をしなかった方が、むしろよかったのだ。野党から与党になって日が浅く市場対応に不慣れなため、経験不足で実績が伴っていないようだ。政府と日銀が、連携して両輪となって経済政策を打たなければならないのに・・・。どうしたことだろうか?何もしない市場環境と評価されているのは。

こうなったら経済そのものの成り行きに任せて、傍観するのもよいかもしれない。落ち着くところに落ち着くからだ。下手に手を下すよりは良いかも知れない。けれども、それでは何が何でも能が無さ過ぎるけれど・・・。

今回の円高は、日本が強くなったのではなく、アメリカ(ドル)とヨーロッパ(ユーロ)が弱くなって、相対的に日本(円)が強くなっただけ。円高になれば、輸出産業が弱体化するから株安となる。例えば、トヨタでは、1円円高になれば300億円の損失になるそうだから収益に影響することになる。

ただ、為替は相対的なものだから、輸入の側面から見れば、安く手に入る。石油や輸入肉、舶来品、海外旅行などには有利だ。円高差益の儲け分を黙って懐に入れて、ニンマリしている人も多いことだろう。

円高還元セールを大々的にやり、客寄せして稼ぐ方策もある。国民に円高差益を還元するべきだろう。

いずれにせよ、円高・株安に対する対応は難しい。だから、政府や日銀の明晰な頭脳のエリートが、迅速に対応して下さい。お願いします。所詮は、無理かもしれませんが・・・。目の前の小手先の対応ではなく、基本的にはデフレ対策に本腰を入れたほうが、急がば回れで効果があると思うのだが、いかがでしょうか。

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