馬場 勉のコラム
『自今生涯』
「踊る阿呆」に「見る阿呆」
今年もまた、阿波踊りを見るために阿波の国(徳島市)に行ってきた。8月12日から8月15日までの4日間行われる。お盆の時期に重なる。約140万人の観光客の人出があり、400年余りの歴史と伝統がある。もともと盆踊りであったが、昨今は、見せる踊りになっている。約1,000組の連(れん=グループ)が集結する。一度見ると病みつきになるから困ったものだ。にわか踊り手が、参集するまでに発展している。岡山の夏の祭典「うらじゃおどり」は非日常的なファッションやメークに力が入っているが、歴史の重みが違う。うらじゃは、見物人からお金(入場料)をとれるまでには至っていない。阿波踊りは、有料と無料の8ヶ所の演舞場があり、いたるところで踊りで盛り上がっている。
軽快なお囃子に乗って熱気が溢れ、鉦・太鼓・三味線などのリズムにのって老若男女が乱舞する。ヤットサーヤットサーの掛け声が街中で響き渡り、暑い夜を最高に彩っていた。踊りに参加するには、まず体を鍛えておかないと200mはある演舞場を踊り狂うことは無理。技も鍛錬して築き上げなければダメ。だから、見てもらうというより、自分を鍛え磨き上げることに、無上の喜びを感じているアスリートの心境になるというのが本音だろう。とにかく、凄いの一言に尽きる。
せっかくの徳島だから、「人生は遍路なり」とシャレこみ修業の旅をした。暑い中のお遍路は大変だった。1番札所から10番札所まで、比較的短い距離でまとまっているからまわりやすい。どこのお寺さんも、立派な建物が新築され潤っている感じがした。そんなに暑い中、お参りしてどんな御利益があるのか、と問われれば返答に困る。自己満足な面もあるかもしれないが、お遍路さんもくせになり、はまるようになる。礼所をまわれることは、最高の贅沢で幸せだと思っている。さすがに、暑い時はお遍路する人は少ないが、それでも、訪れる人はいるから、それなりに結構賑わっているのだ。四季それぞれのよさがある。山の中あり、海岸ありで景色を楽しむこともできる。目に見えないが、何かがあるように思われる。私は、車でゆくのだから楽だ。が、歩き遍路をする人は、単なる修業だけではなく、内心の得るものが大きいのだと思うのだが・・・。