馬場 勉のコラム
『自今生涯』
世の中をなめたらいかんぞなもし
温度差の激しい時期、秋の気配が一段と増し、紅葉の見頃もあと少し時間が、掛りそうだ。
来年のカレンダーが送られてきた。年末が近くなった感がする。それなりに忙しかったが、まだまだ、これからが人生の華と考えている。
良い事もあったが、いい加減で一流企業もあてにならないことが、わかった年だったように思う。
私事だが、 88 ヵ所を 9 巡目が結願した。明日から高野山へお参りする。標高 1,000 mの盆地だから、紅葉していることを楽しみにしている。空海が高野山を開いてから、 1,200 年の記念法要も終了に近づいた。宿坊はどこも満員という状態。私は思うのだが、車で四国 88 ヵ所を 10 巡すれば、歩き遍路を 1 巡したことに匹敵するだろうと解釈し、 10 巡目からは、健康のためにもスピードアップして、早くまわるつもりでいる。まだ、階段はのぼれるから…。
ノーベル賞の生理・医学賞を受賞した北里大学の大村智先生は人類の為に働いた事に感銘した。
土壌の微生物から特効薬を見つけたのだが、感銘したのは、国から研究費をむしり取らずに、自分の能力でお金を製薬会社から集めたことだ。国は旧帝大には、膨大な補助金を投入するが、その他の地方大学や私立にはケチって冷たいのが現状だ。大村先生は地方大学の山梨大学出身で、夜間高校の先生をしていたときに、昼間働き、油まみれの手で授業を受けに来ていた学生を見て、一念発起して研究にいそしんだ、というエピソードに感激した。
反面、ノーベル物理学賞の栄誉に輝いた梶田隆章先生は、素粒子ニュートリノを観察し、ニュートリノに重さがあることを証明して、物質や宇宙の謎に迫る功績が評価されたそうだが、失礼ながら、私にとってはどうでもよいことだ。
それよりも、岐阜県にある観測装置「スーパーカミオカンデ」を国のお金を投入して、地下深く空間を作り、おんぶにだっこの研究の方が、私にとっては無駄だと思うが、いかがでしょうか。というのも、国の予算配分は権威主義なところがあるように思うからだ。
ただ、先生は地方大学の埼玉大学出身らしいから、東大や京大へ進む頭がよい人達は、何をしているのでしょうか。頭がいいだけでは、新しい研究等に必要な発想力が乏しいのかも知れない。
ところで、世間で名前の売れた企業が、いい加減なことを会社ぐるみでやっているのが許せない。独のフォルクスワーゲンの排ガス偽装問題発覚。東洋ゴムの免震ゴムの強度不足。三井不動産の子会社や下請けの旭化成による欠陥マンションのねつ造など、どう考えても弁解の余地はない。直せばよいとか、補償すればよいだろうというような態度が、どうも気にくわない。多少のことは、目をつぶるのが、大人の世界だろうし、そういうように大目に見ているものの、わからなければよいという感覚が理解できない。企業の存続にかかわる重大な問題である。
株価も下がるだろうし、会社が倒産するかも知れない。記者会見で涙を流していた社長がいたが、この人の涙は何なのか。これで、社長の首がとんだ、残念だ。という気持から出た涙ではないのかな。泣く前に企業体質をしっかりすることの方が、先のように思う。世の中をなめたら、痛い目にあいますよ。
ダイエー、三洋電器、東芝、山一証券など多くの大企業が、世の中から消えていったり、糾弾をうけている。会社はどうでもよいが、従業員やその家族がたくさんいることを、もう一度考え直して、真面目な仕事をしてほしい。
弊社は、他人様に自慢できるようなことは、なにもしていないが、仕事は真面目にやってきたと考えている。 40 年近く続けて、信用をそれなりにもらって、今日までやってきていると自負しているが、私の勝手な思い込みだろうか?