馬場 勉コラム
『自今生涯』

第162回

積善は福なり

薬師寺の偉い管長さんの揮毫 である。善を積めば、まわりまわって幸運をもたらすだろう。自分勝手に世の中は自分一人のために存在していると誤解して、人を軽蔑する人が世の中にはままあるが、そういう人は信頼されず、口には出さずとも、なんも知らん奴だと世間から軽蔑されるだけであろう。

やはり、善に主観的であろうとも、努力している人は、福がくるものだと思われる。心したい言葉である。

先日、ノーベル物理学賞の授賞式がストックホルムのコンサートホールで聞かれ、日本人の3氏が受賞の栄誉を受けた。赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3氏だった。人類の生活向上に大きく貢献した青色発光ダイオード(LED)の開発に関してだったが、基礎研究から実用化まで、すべて日本人が成し遂げ、受賞したのであった。

ただ、企業ではいろいろな研究をしていて、人類の生活向上のために、役に立っているものは多く、LEDだけが特別のものではなかったが、青色の発光ダイオードは実現不可能で、無理だと思われていたのを覆して、成功させたのが評価されたのだと思う。皆さん天才の域におさまる人だと思うが、中村修二教授だけは変人と思われる節がある。現在は、米国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授をしている 60 才だが、徳島大学を出て地元の企業に就職して、LEDを実用化させたのだが、企業に対して自分の研究成果を会社が利用して稼いでいるから、 200 億円支払えという訴訟をして、 8 億円余の賠償金で和解した経緯がある。この考え方には異論がある。企業に就職して好きな研究をさせてもらって、基本的に終身雇用でなんの成果をあげなくても、企業は月給ほか多額の費用を負担している。どこの企業でも、開発のリスクは会社がとり、アメリカのように成果がなければクビにもせず、また、日本ではアメリカと違って、研究成果(特許)を得ても、報酬を請求しませんという念書も書かせないのが普通だから、日本は研究者にとっては、天国のようなものだ。にもかかわらず、成果の一部を寄越せというのでは、企業はあほらしくて人を雇えない。リスクは誰がとるかを考えるべきだ。お金に執着している人というか、世の中がわかっていない人だと思う。ノーベル賞を受賞すれば、文化勲章を例外なく受章し、年金ももらえる。ありがたいことだと思う。ノーベル賞のメダルをもらったことに対して、記者がどういう気持かと尋ねたところ「別にただの金属ですから」と回答したのには驚いた。

ほとんどの人が、先人の成果の上に少しだけ付け加えたのが評価され、周囲のみんなの協力のおかげです。というような意味のことをいうのだが、この人は違った。

それ程までに、ノーベル賞のメダルの重みを軽視するのなら、ノーベル賞の栄誉を受けないように辞退すればよいのにと思う。とにかく、常人の考えではない。積善を積んだ人とは思えず、福がくるとは到底思えない。自民党と日本共産党の対立など問題にならないぐらいの違和感を覚えた。私だけではないであろう。銭のことばかりに関心があり、固執する人らしい。考えるだけでも、空恐ろしい人だし、世の中がよくわかっていない、俗にいう天才かもしれない。しかし、大学コンプレックスとか、よくわからないのだが、世間への、特に就職した会社への怒りがこの人を動かして人間形成されているのだろうかと思う。

ところで、先日、高野山に参拝した。奥の院に参上することで、今年は 88 ヵ所巡りは締め括りになった。健康で元気に御遍路ができたことへのお礼参りをした。高野山は標高 800 m以上ある盆地である。来年は空海(弘法大師)が開祖して、 1,200 年にあたる年になる。今回は、前日の雪の中を歩くことになったが、今年初めての雪だった。県南の岡山では、雪が積もることは珍しく、比較的恵まれた地域である。ただ、寒いことは相当に寒い地域で暖かい所ではないであろうと思うのだが…。

最近の話題では、イオン岡山が開業した。先日初めて行ってみたが、すごく人出はあるが、広すぎて途中であきらめて帰った。自転車を置いてもお金がかかるらしい。

イトーヨーカドーは、私の事務所の隣にあり、すでに 15 年程営業している。二大店舗が競り合うことになる。競争することは良いことだ。サービスは良くなり、値下げを行うようになるからだ。

やはり、競争は大切だ。イトーヨーカドーが閉店するとかの噂がそれとなく流布していたが、私はそういうことは絶対にないと思っていた。セブンアンドアイホールディングスの大きな組織の一環だし、沽券にかけてもテコ入れをすると思われる。最近は、かなり真剣に商売をするようになった。岡山資本の天満屋デパートと連携した。イオンは岡山高島屋と両備グループと連携して、相互に競合する形になった。

これからが見ものである。おもしろいではないか。岡山良いとこ、一度は来てみて下さいと言いたい。周遊するには魅力不足の面もある。イオンは、若者(お金がない)と年金生活者(お金はあっても買いたいものがない)が主流を占めるかもしれない。イトーヨーカドーは、それほど来店者が減ってないように感じられる。随分ガンバッテいる気持が伝わってくる。これから、二大商圏がそれぞれ実力を発揮してくれれば、市民にとっては大いに助かります。

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