馬場 勉のコラム
『自今生涯』
産地偽装はダメ
週末になると天気が定まらず、予定変更を余儀なくされる機会が多かったのが、今年の夏頃からの気候だったが、すでに 11 月も初旬。寒さが身に堪えるようになった。天気も秋本番になったから、これからの天気は安定するであろう。
昨今の世の中を賑あわせているのは、暴力団への迂回融資の問題。なかなか懲りない面々で、保身に懸命なエライさん達の言動はいやになる。出処進退の潔さがない。嵐の過ぎ去るのを待っているというところである。世間の噂も七十五日というから。金融庁は、大手 3 行を一斉検査に入った。何が出てくるのやら興味は沸くが、信用第一で銀行業務をやってほしいものだ。
ただ、テレビで写る顔を見ると俗にいうオーラがない。大企業の課長さんか、部長さんという感じで頭取等として人心を掌握するには力不足と思える。大手銀行では、プロパーの有名大学卒で仲間同士の出世コースに勝つことがトップになれる要件のようである。田舎の同族企業のオーナー社長を低く見る面があるように思われる。いい例が、林原事件(林原健さんと、林原靖さん兄弟)で見られるように、田舎者と軽んじて最後は徹底的に潰しにかかったということだろう。
もう一つ、新聞などマスコミが大々的に報じているのが有名レストランなどが一般人(食事をする人)を欺いてメニューと違うものを出す。例えば、車海老がブラックタイガーになったり、九条ネギがただのネギだったり、ステーキが外国産の成型肉だったりと本当に人をナメテイルのかと思う。表面に出ていない案件はもっと多いだろうから、まだまだ顕在化するだろう。
偽装というよりサギ行為である。本物と偽って安いものを食べさせる、あるいは、売りつけることは 2,000 円ポッキリの居酒屋ならいざ知らず、のれんを張って堂々と偽装の商売をするに至っては困ったことである。有名ブランドの食材を使っているというデパート・レストランやホテルが、国民に疑心暗鬼の念をいだかせることは許せないことだ。
特筆すべきは、岡山の農産物直売所「産直市場おく」では、テナントとして入居していた鮮魚販売店が、瀬戸内海で取れた地物とはまったく違う輸入アナゴ等を偽装販売していた。中国産や韓国産を地元産と偽ったり、養殖物を天然物として販売したりで、単なる偽装行為では収まらず、食の安全・安心を脅かす見過ごし難い行為と判断され、悪質な不正競争防止法違反(偽装表示)容疑で逮捕された。内容はサギであるが、犯罪の構成要件の立証が難しいから特別法により立件をするということだが、一度犯罪もどきをやると再起はかなり難しくなり、廃業の憂き目をみることになりかねない。最初は軽い気持で始めても、段々と大胆になるものである。心すべきである。