馬場 勉のコラム
『自今生涯』
「うだつ」があがる
今年は、台風の当り年らしい。発生が30個に近づいてきたから、毎週1個が発生している勘定になる。太平洋の海水温が、高いのが原因らしい。岡山は、大きな被害がなくヤレヤレというところですが、停電事故がありました。
体育の日( 10 月 14 日)に、文部省が「 70 歳の体力が 12 年前より 5 歳若返った」と発表。元気なお年寄りというより、元気溌剌(ハツラツ)の中高年齢が増えているということだろう。
新聞をみて、一瞬、目を疑ったのが、 70 歳代の 40 %がクラブに所属しているという統計だった。そんなに運動をしているのかとビックリするとともに、私もスポーツジムに所属しているが、行くのは夜だけだから、そんなに多くはいないと思っていたが、朝とか昼の時間帯に時間を持て余して通っているらしい。どういう統計の取り方をしているのか知らないが、知人のジム経営者も 40 %には驚いていた。在籍者の 70 歳代は 3 %程度の入会率なのだけれどと不思議がっていた。
何れにせよ、健康に留意して体を鍛えることは病気にもならず、医療費は少なくて済み、人の世話にもならず良いことだ。予防医学的には良いということ。ただ、体は継続的に動かすことが大切で、少し休んでいたら、体がなまってきつくなるようだ。
先日、徳島市で会合があり、そのアトラクションとして藍染のファッションショー、阿波踊り、及び人形浄瑠璃がなされた。岡山で会合をした時の「おもてなし」として、全国の人に誇れる催しは、どんなものがあるのかなと思うが…。
小旅行(エクスカーション)として、徳島県美馬市脇町の「うだつ」の街並みをガイド付で見せてもらった。「うだつ」があがるということわざは、ここから出ているのだ。「うだつ」は、火よけ壁として防火の役目をしているのだ。脇町は、江戸時代、藍の集散地として栄え、大規模な豪壮で裕福な商家が「うだつ」をあげた立派な家を競って建てた。ちなみに、脇町は昭和 63 年( 1988 年)に全国で、 28 番目の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
泊まりがけで、秘境のロマン紀行へ。源平の争いに負けた平家が、逃げ込んだと言われる祖谷(いや)へ。“かずら橋”をヒヤヒヤしながら渡る。以前、かずら橋には行ったことがあるが、当時からみれば道は良くなったと思う。宿泊は、田舎のホテルだったが、天然温泉のあるかなり立派な宿で、お客さんが多いようだ。特に、ヨーロッパからの旅人が目立つそうだ。地産地消をモットーに食事を作っているそうだ。
吉野川に形成されている大歩危(おおぼけ)、小歩危(こぼけ)の両岸は、自然の造り上げた芸術的彫刻である。大歩危峡の船下りを楽しむ。雨雲(キリ)が山をおおい、墨絵の世界を味わった。気の遠くなるような年月が作り上げた景色だ。人間はたかだか百年、自然環境とは比較にならない。人間は、短期間しか生きていないのだから、くよくよすることはないとつくづく思った。
今は、高知高速道で大歩危や小歩危も通らなくなったが、少し前までは、秘境をぬうように国道が走っていた。地道の国道を走ったのは久しぶりだった。
非日常な旅をしてきた。元気に帰って来れたのだから、仕事にガンバリたいと思っているところである。