馬場 勉のコラム
『自今生涯』
阿波(あわ)おどり
例年にない、猛暑が続いている今日この頃です。お盆休みを、いかがお過ごしでしたか。暦通りに、営業あるいは勤めに励んでいらっしゃった方も居られますが、交代で休んでいる人が多いようです。
私は、毎年お盆はお墓の掃除(これが大変なのですが)とお坊さんをお迎えして先祖代々の諸霊を拝んで頂き、ひとまず家のお勤めが終わったら、毎年楽しみにしています徳島県の阿波踊りに行くことにしています。本四架橋ができたときからですから、 25 年以上になります。ほぼ毎年、熱病に掛かったように行きます。その後 88 ヵ所を回ったりしていましたが、今年は JR を使って行きました。片道は 2 時間程で意外と時間が掛からず、近いのだなあ~と思いました。渋滞するクルマよりは、いいのではと考えたのですが…。
阿波踊りは、蜂須賀藩が藍の生産・販売で繁栄していた当時から、 400 年の伝統があり、お盆の時に踊られる盆踊りなのです。盆踊りといえば、哀調を帯びた旋律のものが多いのですが、阿波踊りは陽気な祭をイメージできるイベントと考えたほうが良いのではないでしょうか。
死後の世界には、経験がないので分かりませんが、絵巻物に出てくるような暗い感じの世界よりは、底抜けに明るいあの世の方が、私の性格にあっているようですから、阿波踊りのような陽気でメチャクチャに元気な世界に憧れます。
阿波踊りは、蓮(れん)というグループに分かれていて伝統の有名蓮を中心に、約 1,000 の蓮があるようです。ひとつの蓮が約 100 人で成立していると仮定すれば、全体で約 10 万人の大世帯です。毎年 8 月 12 日から 15 日までの 4 日間で観光客等が約 30 万人集客するといわれていますから、 3 人に 1 人は踊り蓮に属している割合になります。やはり「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」ということになるのでしょうか。
2 拍子で左手と同時に左足を出すということで、頭の中ではそんなに難しい話ではないのですが、実際にやってみるとなると頭で考えるようではだめで、体が自然に動くようにならないとラジオ体操になります。上手い人の踊りを観ると実に綺麗ですし観るものに感動を与えます。一見の価値ありといえます。
約 100 mのサジキ(有料)を踊り続けて行くには、体力が必要。暑い中を 4 日間踊りまくるには健康であることが第一です。熱中症とは無縁な丈夫な体の持ち主の人達なのです。
有名蓮にも、大・中・小と規模があり大所帯の蓮は、人材も豊富で需要(パーティーなどへの出張など)に応じられるだけの供給力がありますが、中・小の蓮になれば、出番が少なく蓮を維持していくのも、経済的に大変だと思われます。そこで、最近の傾向として考えられたのが、一般企業と合同で蓮を組むことです。踊りの指導をする代わりに広告料として資金面での支援を受けることです。どこの世界でも、合併・合同・吸収などが行われるものです。ただ、指導することにより企業蓮のレベルは向上するのですが、朱に交われば赤くなるということで中・小蓮の質は低下するように思われます。気のせいでしょうか。
お金を取って見せる場所(サジキ)以外にも、路上ライブが盛んに行われているので、お金を取って見せるところには、有名蓮だけの出場にしてレベルの低い、にわか蓮程度のものはサジキに入れないようにしてほしいと思います。また、有名蓮では、茶パツにしているものはいないが(蓮の締め付けが厳しいのだろう)、サジキに入る大学蓮の中には、踊りは下手なのに赤パツ・茶パツの髪の毛だけが目立った若者がいた。本来の盆踊りの考えからは、考えられないことだと思うがいかがでしょうか。お金を取る以上は、中途半端な蓮は外すことが大切でしょう。踊りたい人は、路上でライブを勝手にやったらよいのではないでしょうか。
掛け声にも色々あるが「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」「ヤットサーヤットサー」「 1 かけ 2 かけ 3 かけて、しかけた踊りはやめられぬ。 5 かけ 6 かけ 7 かけて、やっぱり踊りはやめられない」など、女踊りの掛け声は心地よいものだ。