馬場 勉のコラム
『自今生涯』
ユクカワノナガレハ・・・
平成 25 年 1 月が終わった。正月の月で、世の中いろいろ動きもあったが、一ヵ月が過ぎ去った。それなりに、弊社は仕事の処理も進んだ。まずまずというところ。
先日、京都へ行った。訪れた目的は、第 47 回目の「京の冬の旅」で特別公開中のお寺さんを参拝に行くこと及び京都国立博物館で開催中の「方丈記(ほうじょうき)」展を見ることだった。
「京の冬の旅」は 47 回目ということだから、長い歴史がある。毎年、平常は非公開のお寺さんが、この時期だけ特別に一般公開する。個人でも自由に入場できるところがよいが、私は、定期観光バスで回ることにしている。効率的でガイドの説明付のため重宝であるから。
皇室ゆかりの京の尼寺を訪ねるコースを選んだ。皇室に関係あるお寺さんは、土塀に 5 本の横線が引かれているからそれなりに判別できる。印象に残ったのは、得浄明院(とくじょうみょういん)という尼寺に行ったときに、恰幅の良い存在感のある尼さんが、法話をはじめたではないか!おもしろくおかしく楽しい話だった。すなわち、草木は、根が大切で大木や大輪の花を咲かせるには、目に見えない地中の根がものをいうとの主旨の話をされていた。我が身を振り返ってみて、いまだ、根を張りかつ深く地中に食い込んでいない。まだまだ、大輪の花を咲かせるための準備段階であると思う。 80 才・ 90 才を迎えても、元気で社会的に活躍されていらっしゃる人を思えば、まだ修行中の身なのである。何もしないで無駄に過ごすのは、罪に価するのかもしれない。そういうことを思いながら「京の冬の旅」を楽しんだところである。
京都国立博物館では「国宝十二天像と密教法会の世界」と同時に開催されていた「方丈記(ほうじょうき)」成立(鎌倉時代 13 世紀)から数えて 800 年記念の特別展示に興味がわいた。「方丈記」は教科書に必ず出てくるから、内容は分からずとも名前は知っている。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。…」という無駄のない名文で始まる。鴨長明(かものちょうめい)が方丈(約 3m 四方の家)の中で、わが身を振り返り世の無常を執筆したという程度の知識だったが、鴨長明の自筆(重要文化財に指定されている)といわれる方丈記の原文を見て驚いた。約 8,000 字程度の短い文章で、カタカナが中心の上下約 30cm ×横幅長さ約 1m 程の変色した和紙。訂正ヵ所がなく淡々と書かれた巻物であった。
この短文が、 800 年も読み継がれているのかと感銘を覚えた。注釈書を頼りに、本文を読んでみたいという衝動に駆られている。これからの楽しみである。同じように、随筆の古典としては「徒然草(つれづれぐさ)」がある。こちらは読み応えのする長文だが、初歩から勉強したいと思っている。宗教も哲学も先人の名著に記された考え方も根本のところでは、意外と一致しているのではないかと考えるようになった。富士山の頂上に登る道が幾つもあるように、どの道をたどっても、考えている宇宙観や人生論は、同じことを考え志向しているのではないかと思うのだが…。
今は、年中で一番寒い頃だが、寒さに負けず元気を出したい。スポーツジムにも通っているが、寒いから毎日はムリというところ。ボツボツ体力を鍛えることにします。