馬場 勉コラム
『自今生涯』

第109回

最高齢世界一周

100 歳以上の高齢者は増加の一途をたどっている。ただ生きるだけでなく、若い者に感動を与え続けている人がいる。知る人ぞ知る、その名は曻地三郎(しょうち さぶろう)さん。

『 106 歳を越えて、私がいま伝えたいこと』という単行本が発売されている。興味が湧いたので買った。一気に読んだ。難しい言葉では書かれていないが、読む者に感動を与え、私をしてガンバローという気持にさせた。

自分でいうのもおこがましいが、比較的本を読んだり書いたりする方だと思っている。一冊の本を、はじめから終りまで読んだのは、久しぶりのことだ。それだけ魅力があるというか、人を引き付けるものがある。曻地さんという有名人がいらっしゃるということはマスコミ報道などで知っていたが、さほど詳しくはなかったのだが新刊本により人となりがわかった。

明治 39 年( 1906 年) 8 月 16 日生まれだから 106 歳を迎えている。旧制の文学博士号取得また旧制の医学博士号を取得している。えらい先生なのである。教育者である。

そんなに立派な方なのだが、私生活は数奇な波乱万丈の人生を歩んでこられている。長男と次男が、脳性小児麻痺になって子供の教育のため苦労されたのである。昭和 29 年( 1954 年) 48 歳のとき、私財を投入して「しいのみ学園」を設立。障害児等の教育に生涯を捧げてきただけでも尊敬に値するが、 99 歳( 2005 年)に第一回世界一周の講演旅行を始めてから、毎年地球一周の講演を続けている。 2012 年( 106 歳)に第 7 回目の世界一周講演旅行をして世界記録を樹立した。まだ若者には負けないぞという意気込みである。今からでも遅くないから「禍を試練と受け止めて長生きをすれば、良いことがある」と、説いている。

人生とは何かといえば「人生は自分自身との戦いである」とおっしゃっている。その通りだろう。まだ 70 歳になったばかりの私なぞこれからです。血液検査をしても悪いところは無し。若い時よりはむしろよい。すでに酒は止めた。別段酒が飲めない体質ではないが、飲みだすと止まらないから、飲まないようにしただけのことだ。

先生の本(約 200 ページ)でいろいろな教訓を読み取ることができるが、生涯現役で人生を楽しみ興味を持って積極的に物事にあたれ、というような意味のことを書かれている。それ以上のことは、先生の本を読まれることをお薦めします。一気に読める本ですから…。

私は、時間的にジムに行けるときは、皆勤で行くように努めている。機械をするのが主たる運動パターンでしたが、先生の本を読んで新しい分野のエクササイズを試みることにした。難しい運動は無理だが、初歩の部類に属するエクササイズだったら出来るだろうと思って恥を忍んでシャイな私が試みることにした。どこまでやれるのかわからないが、運動神経が鈍くリズム感がない私でも、やればある程度までは出来るようになるはずだと思うようになった。先生の仰っているように、好奇心を持ってやってみることが大切だと思うようになった。体と頭は、年齢とは関係なく使えば鍛えられる筈であるからです。とにかく思い付いたのだから今から前進してみましょう。

私のコラムのタイトルであるように「自今生涯」の気持で。すなわち「ただ今から、生涯が始まる」と思って生きていきたいものです。

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