馬場 勉コラム
『自今生涯』

第79回

「幸福度ランキング」から見えてくるもの

法政大学の先生が、 47 都道府県の地域住民の幸福度を統計データ 40 項目に分類しかつ点数化して幸福度ランキングを発表した。結果によれば、なんと岡山県は総合 24 位となった。ちょうど中位に位置する。いろんな他の統計と比較しても概ね順位は合致する。鳴かず飛ばずの中庸の特徴のない普通の県ということができる。

岡山県民は、天災が少なく晴れの国で、交通網が発達しているため住み良いいいところだと自己評価し信じているが、客観的に冷静に判定すれば、ありふれたただの県で良くもなく悪くもないということらしい。

取り上げた選択 40 項目のとり方によっては、結果が異なるから全幅の信頼はできないが、一応の目安としては納得できるものである。

調査の要点をみると「生活・家族部門」では 18 位~ 42 位とまずまずの評価。「安全・安心部門」では 15 位~ 45 位と前述の部門と同様の傾向ではあるが、悪いほうが目立つ。「労働・企業部門」は 7 位~ 41 位とバラツキもある。「医療・健康部門」は 4 位~ 33 位と良好な部分がある。

全体的評価では、「施策が優先されてきたためか、医療・健康面は充実しているが、事故や火事が多く、保育所の定員や障害者の賃金に問題がある。バランスを欠いていますね」ということだった。

医療・健康部門で岡山県は 1 位になった。すなわち、自殺死亡者は少なく、女性の平均寿命が長く、趣味や娯楽にあてる時間が多く、さらに、医師の数が多いためである。

反面、火事・事故・犯罪件数の多さがめだつ。また、生活手助けが必要な障害者や要介護高齢者らの人口割合が、高く安全・安心面が脆弱な県であることがわかる。要するに、安全面に問題がある。自然災害などは項目から除外されているためか、一般的に信じられている岡山のイメージである安全な県という思いとは違う結果になった。

総合評価では、岡山県は「温暖な気候で、明るい人間性が育まれ、交通の要所として文化交流の拠点」と分析されている。良い面と悪い面のバランスが極端でプラス・マイナスが相殺されて中位というところ。

気になるのは、岡山県は長野県と同様教育県といわれてきたが、データーによれば、さほどでもないことが立証されている。また、学校内暴力が多いとのことだから、教育再生に集中的に力をそそいでもらいたい。また、岡山県は医療が充実して長生きする人が多いのはよいが、介護面が充分でないこともわかる。長生きはいいけど、幸せに過ごしたいものだ。

話は変るが、ショックを受けた。岡山日日新聞(夕刊紙)が廃刊になった(平成 23 年 11 月 10 日限り)。発行元の岡山日日新聞新社は、自己破産申請をした。旧の名の「夕刊岡山」が昭和 21 年 5 月 1 日の創刊だから 65 年間にわたって続いた地元の新聞が使命を終わったことになる。新聞や出版などの業界は、時代の流れで媒体機能が変化し時代の変遷についていけない構造的不況業種であることは間違いない。それにしても廃刊は寂しいことである。何事も新しく生れることは嬉しいが、無くなることは寂しく物悲しいことである。

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